**書 籍 1** (著者名・アイウエオ順)

 

 

 

**聞き書き・ノンフィクション・調査研究資料ほか**

 

「瞽女 旅芸人の記録」 五十嵐富雄(著) 

 桜楓社/昭和62年

著者は日本近世史を専門とする大学教授。瞽女に関する基礎的な情報も掲載されているが、読みどころは昭和49〜51年に瞽女の金子セキ一行におこなった「門付け同行記」と、加藤イサ、五十嵐サカ、他5人の元瞽女を訪ねた「元瞽女訪問記」。ここでは他の書であまり取り上げられていない瞽女達に取材しており、貴重な記録と言える。「同行記」も瞽女と村人とのやり取りが活写され、当時の雰囲気が伝わってくる。

 

「瞽女の語る昔話 杉本キクエ媼昔話集」 岩瀬博(編著) 

 三弥井書店/昭和50年

瞽女は演奏者であると同時に優れた昔話の語り手でもあった。本書は口承説話の研究書であると同時に、昔話の伝承者であった瞽女の一面を知らしめるものとなっている。高田瞽女・杉本キクエの伝承する昔話を昭和47年から2年間にわたって杉本家で採録し、81話を集録。「蛇婿入り」などの異類婚譚、「蟹の仇討」などの動物譚ほか、継子譚、報恩譚といった説話の王道といえる話からムジナが化けていると間違われた瞽女仲間の話「ムジナ瞽女」といった世間話に近いものまで、語り口そのままに記録され瞽女が多彩な語り手であったことがうかがえる。冒頭に詳細な解説が添えられているほか杉本の語る「蛸の報い」を録音したソノシートも添付され、充実した内容となっている。

 

「江戸川区郷土資料集 第12集 瞽女の記録」 江戸川区教育委員会(編) 

 江戸川区教育委員会/昭和58年

江戸川区内の須原家と田島家に残存する「瞽女泊順番帳」や、現在の出納帳にあたる「諸役入目帳」といった100点以上の古文書を元に、江戸川区を来訪した瞽女ついての研究をまとめたもの。巻頭には昭和初年頃に江戸川べりで三味線を手にうたう瞽女の写真も掲載されている。本文は古文書の瞽女に関する部分の翻字と20ページ以上の解説からなり、江戸川区における近世の瞽女の活動を詳細に知る事ができる。年によってはひと月10人以上の瞽女を受け入れていたり、宿泊費用や謝礼などが村の公費から支払われているなど、村人から歓迎されていた様子が推察できる。

 

「わたしは瞽女 杉本キクエ口伝」 大山真人(著) 

 音楽之友社/昭和52年

瞽女に関する著作が多い著者の「瞽女三部作」第一作。昭和45〜47年にかけて高田瞽女・杉本キクエに行った取材を聞き書きの形でまとめている。キクエの語り口は、まるで祖母から昔話を聞くようなあたたかみにあふれ、親しみやすい。「情と芸と」の項には、彼女とかかわった瞽女たちの様々な人生模様が描かれ、その過酷な運命に胸が熱くなる。これだけの話を引き出した著者の取材力にも感服。

 

「ある瞽女宿の没落」 大山真人(著) 

 音楽之友社/昭和56年

「瞽女宿」とは、瞽女が村々を訪れたとき演奏会場兼宿泊所を提供する民家のこと。多くは村の地主などがその役割を担った。新潟に実在した大地主で、杉本キクエが懇意にしていた瞽女宿、宮崎家の盛衰を小説風に描いたノンフィクション。時代の流れの中で村の様相が変わり、瞽女宿が徐々に姿を消し、瞽女たちが否応なしに旅をやめざるをえなかった状況が陰影豊かな筆致とともに浮かび上がる。時代小説としても面白く読める一冊。

 

「高田瞽女最後」 大山真人(著) 

 音楽之友社/昭和58年

著者の13年間にわたる取材をまとめてきた「瞽女三部作」の最後の一冊。最後の親方となった杉本キクエ、キクエの親方であった赤倉瞽女(中村カツ)、キクエの妹弟子のキノエ、三人それぞれの人生に焦点をあて、ノンフィクションだがオムニバス形式のような構成。最後の章ではキクエと著者との会話から、キクエ自身が高田瞽女の終焉を達観していたことが明かされる。キクエは出版直前の昭和58年3月に亡くなった。

 

「最後の瞽女 小林ハル 光を求めた一〇五歳」 川野楠己(著) 

 日本放送出版協会/2005年

著者は元NHKチーフディレクター。盲人関係の番組を長年にわたり担当し、小林ハルに関する著書やCDのほか、盲人の箏曲家や琵琶奏者らを広く一般に紹介してきた。本書はとりわけ「盲人と音楽」についてのエピソードや考察が興味深い。昭和54年に番組で係わって以来、晩年の小林ハルを見守りつづけ、亡くなった年に本書を出版した。ハルに取材した聞き書きと、著者自身の視点の二方向から描かれ、CDや写真集の出版から葬儀の様子まで晩年の出来事が詳細につづられている。

 

「最後の瞽女 小林ハルの人生」 桐生清次(著) 

 文芸社/2000年

1981年に出版された「次の世は虫になっても 最後の瞽女小林ハル口伝」(柏樹社)の増補・改訂版。小林ハルの生い立ちから特養老人ホームに入るまでを、聞き書きの形でまとめている。著者は障害者教育に携わってきており、障害者理解を求める意味もあって本書の執筆にあたったという。本文中ではそうした色合いは抑えられ、著者の私観を挟むことなく徹底してハルの言葉で固められているが、そのことによりかえって障害者のおかれた過酷な状況が、むき出しとなって伝わってくる内容となった。

 

「瞽女の民俗」 佐久間惇一(著) 

 岩崎美術社/1983年

民俗学の観点から多数の瞽女に取材した詳細な研究書。瞽女の歴史、組織、旅の様子、宗教性から村落との関係性にいたるまで広く網羅している。瞽女唄にも詳しくふれられていて、特に添付資料の歌詞一覧や取材した瞽女それぞれの習得曲一覧表、「葛の葉の子別れ」の譜面(五線譜)などは他の書には見られないもの。新潟県出身の著者は小林ハルとも親しく交流していたという。

 

「瞽女 盲目の旅芸人」 斎藤真一(著) 

 日本放送出版協会/昭和47年

瞽女をテーマにした一連の作品で有名な画家・斎藤真一が、杉本キクエとの交流を中心に瞽女との出会いから、瞽女宿をめぐった旅のルポなど、さまざまな思いをリリカルに描く。巻末にはキクエとの対談も収録されている。本書の眼目である瞽女宿めぐりの部分では、それぞれの瞽女たちの人生のありようや周囲の村人たちが、まるで小説のように描かれ一気に読まされてしまう。研究書の類ではないが、瞽女唄や歴史考察に関しても著者独自の視点が光り、瞽女という存在への深い愛情が感じられる。第21回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。

 

「瞽女と瞽女唄の研究」 ジェラルド・グローマー(著) 

 名古屋大学出版会/2007年

コメント準備中です。

 

「阿賀北瞽女と瞽女唄集」 新発田市文化財調査審議会(編) 

 下越瞽女唄研究会/昭和50年

新発田市教育委員会が昭和48年から49年に30回にわたり収録した瞽女唄の歌詞と解説がまとめられている。調査の中心となったのは後に「瞽女の民俗」を書いた佐久間惇一。小林ハル、土田ミス、生村キクノの3名から採った28曲の段物や口説き、万歳といった瞽女唄の歌詞がすべて記載されているほか、30ページ近い解説も添えられている。また、巻末には上記3名と杉本キクエ、金子セキ、伊平タケらのうたう段物の一部が五線譜となって比較されている。

  

「鋼の女」 下重暁子(著) 

 講談社/1991年

あとがきに「女からみた生活者としての瞽女・小林ハルを書いてみたかった」とあるとおり、瞽女を悲劇的な女性という同情やロマンに偏った立場からみることなく、冷静な筆致で等身大の存在としてとらえなおそうとしたノンフィクション。各章とも小林ハルの老人ホームでのおだやかな暮らしぶりをプロローグ的に挟み込みながら、「障害を負った職業婦人」として明治・大正・昭和をくぐり抜けてきたその歩みを、鋭い考察でつぶさに追っている。著者は元NHKアナウンサーであり、同じ「職業婦人」として生きてきた視点は、ハルに対する敬慕をにじませながらもべたついたところがなく読みやすい。

 

「瞽女 信仰と芸能」 鈴木昭英(著) 

 高志書院/1996年

長岡市の学芸員、郷土資料館館長として長年にわたり瞽女の調査・研究を行ってきた著者の集大成と言える一冊。緻密な内容であり、かつ瞽女に関するほぼすべての事項が詰まっており、瞽女を知るための最初の一冊としても最適。巻末には渡辺キク、関根ヤスへの聞き書きも掲載されている。ちなみに著者は現在、瞽女唄ネットワークの会会長もつとめている。

 

「越後瞽女ものがたり」 鈴木昭英(著) 

 岩田書院/2009年

コメント準備中です。

 

「伊平タケ 聞き書 越後の瞽女」 鈴木昭英・松浦孝義・竹田正明(著) 

 講談社/昭和51年

国の重要無形文化財の指定を受けた刈羽瞽女の伊平タケに焦点をあて、聞き書きを中心に構成されている。タケは27歳で結婚し、瞽女を引退。指圧の仕事をしていた期間も長く異色の存在といえる。しかし、卓越した歌声と軽妙な語り口にはファンも多く、引退後も多くの舞台やラジオに出演、レコードに吹き込みをした最初の瞽女という説もある。持ち前の明るさからか、特殊な経歴からか、他の聞き書き本に比べてあまり暗さがなく、苦いエピソードもあっけらかんと語っていて痛快。

 

「越後ごぜうた文藝談義」 鈴木孝庸(著) 

 新潟日報事業社/2003年

新潟大学が「教育研究活動の一端を社会に向けて発信する」ことを目的に刊行している「ブックレット新潟大学」シリーズの一冊として出版されたもの。瞽女の主要演目である語り物(段物)を取り上げ、口誦文芸としての立場から講じている。とりわけ語り物の文学性、技法、特性に光をあてながら、一般読者むけに非常に理解しやすく工夫して書かれており、予備知識がなくても楽しみながら読める。

 

「瞽女さん 高田瞽女の心を求めて」 杉山幸子(著) 

 川辺書林/1995年

前半は高田瞽女、特に杉本シズを中心に生い立ちや老人ホームでの生活を取材。後半は越後、北信濃、東信州地方の瞽女宿や瞽女ゆかりの地を訪ね、古老らに話を聞いた記録。瞽女宿の主人であったり、親戚であったりした人々の話は、瞽女の運んでくる唄が村人の生活に欠かせない娯楽であったことを物語っている。付録として、杉本キクエ、杉本シズ、難波コトミによる瞽女唄のテープ(「葛の葉の子別れ」など4曲を収録)が付いている。著者は晩年のシズに付き添った人物で、瞽女をテーマにした演劇のボランティア公演などもおこなっている。

    

「新保広大寺 民謡の戸籍調べ」 竹内勉(著) 

 錦正社/昭和48年

「民謡の戸籍調べ」シリーズの第一弾として刊行された。瞽女が流行らせ、「八木節」「じょんがら節」「道南口説」などメジャーな民謡の元になったと言われる「新保広大寺節」。その誕生から発展、変化、流布の過程を丹念に追う。民謡評論家として現在も精力的に活動を続ける著者の詳細な調査記録だが、広大寺伝説を調査していくくだりなどは、まるで推理小説の謎解きのように面白く、思わずひきこまれる。各地で採集した広大寺節関連の民謡の歌詞も多数掲載されている。

 

「民謡地図2 じょんがらと越後瞽女」 竹内勉(著) 

 本阿弥書店/2002年

前出の「新保広大寺 民謡の戸籍調べ」に、じょんがら節とのつながりなど新たな研究成果をプラスし、加筆した改訂版。初出から25年を経ており、ページ数も249ページから639ページの大幅増となった。特に歌詞の詞型変化については大胆な推察がなされており、前作同様、謎解きの面白さが健在。民謡採集時の土地の人々との会話も軽妙に記録されている。前作は続刊が発行されなかったようだが、この「民謡地図」シリーズは「追分と宿場・港の女」「はいや・おけさと千石船」など、現在までに6冊が刊行されている。

 

「小林ハル 盲目の旅人」 本間章子(著) 

 求龍堂/2001年

1900年に生まれ、106歳まで生きた小林ハルが、ちょうど100歳を迎える頃に取材・出版された聞き書き本。生誕から100歳まで、20世紀の100年間の出来事がつづられる。文体は小説風で、時折「ハルの独白」として聞き書き文が入る形式。構成作家、フリーライターの肩書きを持つ著者の文体は軽やかで読みやすい。100歳になったハルの話す言葉には、これまであまり明かされなかった本音がちらりとのぞく箇所もみられる。

 

「むかし、あったってなん 信州・飯田瞽女民話集」 松山義雄(著) 

 朝日新聞社/1982年

飯田瞽女・伊藤ふさえとその養女である美理が語った昔話26話を集録した民話集。著者は長野県伊那地方をフィールドとする民俗研究者で、ふさえが副業としていた按摩業を通じて出会い、偶然に昔話の伝承者であることを知り採録したという。ふさえの語る話は落語風の笑い話が多く、はっきりとした「落ち」があり笑いを誘う。巻末には、飯田瞽女の暮らしや芸について美理からも証言を得て、40ページ以上にわたる解説「飯田瞽女生活誌」を集録している。

 

 

「瞽女のごめんなんしょ昔」 水沢謙一(著) 

 講談社/昭和51年

昔話の研究家であり著作も多い著者が「目の不自由な人が伝え広めた昔話」という切り口から構成した一冊。三章からなり、一章「瞽女が語った昔話」では杉本キクエ、金子セキ、中静ミサオらの昔話が採られ、杉本キクエの語ったものとしては前出の「瞽女の語る昔話」(編著・岩瀬博)と重複していない話のみがおさめられている。二章の「瞽女から聞いた昔話」には子供の頃に瞽女から聞いたり、親が瞽女から聞いた話をさらに伝え聞いた昔話を、三章では瞽女が登場する昔話をまとめ、計100話が集録されている。

 

「荒武タミ女 ゴッタン一代記」 南日本新聞社(編) 

 南日本新聞開発センター/昭和54年頃

ゴッタンは鹿児島地方に伝わる楽器で、三味線に似た形状をしており、皮の代わりに杉板を貼って作られた素朴な音色の楽器である。このゴッタンと三味線の弾きうたいの名手であった荒武タミの人生を、地元の南日本新聞が昭和53年に39回にわたって一代記として連載し、まとめたのが本書である。荒武は盲目で門付けも行っていたが、瞽女に弟子入りしたことはなく、結婚も2度している。なにを基準に「瞽女」と定義するかは難しいが、口説きを演目としていたり、九州地方の瞽女があまり組織だった活動の痕跡を残していないことを考えると、荒武も瞽女の範疇に入ると言えるのかもしれない。

 

「瞽女の記憶」 宮成照子(著) 

 桂書房/1998年

越中おわら風の盆を盛り上げる、風情豊かな胡弓の音色。この胡弓は明治期に、越中おわら節の名人・松本勘玄が富山の瞽女・佐藤千代の奏する胡弓をヒントにして、伴奏に取り入れたと言われている。瞽女が胡弓を弾いたという事例はこの千代以外にはあまり聞いたことがないが、三味線よりも先に当時の人々に浸透していた胡弓を瞽女が演奏していたというのは充分に可能性のあることで、興味は尽きない。著者は千代の手引きをしていた山口コトの娘にあたる人物で、第一部では千代の、第二部は母であるコトの生涯を、二人と過ごした記憶をたどりながら膨大な資料をひいて解き明かす。千代や母に対する追慕の念と、研究書としての要素をあわせ持つ一冊。巻末には民族音楽学者であるジェラルド・グローマーの富山地方の瞽女に関する解説も収録。

 

「盲目の歌姫・長岡瞽女」 村田潤三郎(著) 

 自費出版/昭和47年頃

コメント準備中です。

 

「瞽女さは消えた 日本最後のごぜ旅日記」 村田潤三郎(著) 

 新人物往来社/昭和56年

瞽女の金子セキら一行の旅を調査した記録。昭和40年から最後の旅となった昭和52年までの12年間を、著者が撮影した豊富な写真とともに一冊にまとめている。前出の「瞽女 旅芸人の記録」(五十嵐富雄・著)と同時期に調査していたことになる。質問事項を書いた手帳をセキらに託し、宿の住人に瞽女に対する思いを自らつづってもらった「ごぜ宿手帳」を原文のまま掲載したり、金子セキらと行った「ごぜ座談会」など、面白い切り口が多く読み応えがある。著者は仏教史研究家で、瞽女宿一覧表、郷土資料から見つけた瞽女に関する記述など、貴重な資料も収録されている。

 

「瞽女唄伝承」 若林一郎(著) 

 ふるさと企画/1992年

劇作家、フリーライターの顔を持つ著者が、瞽女唄を知り、小林ハルと出会い、伝承者となる竹下玲子を伴って新潟を再訪し二人三脚で小林から瞽女の芸を学んでいく様を軽妙な筆致で綴ったノンフィクション。瞽女の歴史や演目についても要所で詳しく考察されているが、堅苦しさはない。著者の視点には偏りがなく「瞽女」という芸能を広範囲に捉えており共感がもてる。

 

 

 

 

書籍1

書籍2

書籍3

書籍4

音源

映像